新生村 ~その6 キモチャラ~ - アナ速 ~なるせ、誰にも擁護されず!~
2017/07/17

新生村 ~その6 キモチャラ~

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旧新生村学校校舎内、現FCハウス内は外からの見た目に比べればだが意外と内部は綺麗だった。
古い木造建築物独特の臭いが先程までの不快な臭いに変わってマスクの外から僅かに臭う。

試しにマスクを外してみたがFC内は多少先程までの不快な臭いも感じるがマスクをしなくても平気そうだった。
心美をふと見ると『このマスクは一生外さない』みたいな目をしているので特に何も言わないことにしてみた。

「あーやっぱ慣れないうちは臭いよね~俺もここに来たばっかの時はこの時期結構きつくてさー!
ってか三人ともカワイイね!高校生?どこから来たの?LINEとかやってる?」


ナニ!今度はナニ!

ただの案内役だとばかり思ってた人が怒涛の勢いで話しかけて来る。
正直それどころじゃない!いろいろありすぎてそれどころじゃない!少しは落ち着かせろ!とイラッとするがここは明日香ちゃんの大人の対応その1「とりあえず質問に質問で返して会話の主導権を握る」基本的な逃げの会話技術を試してみる。

「あの、ここって学校ですよね?宿泊自体は問題なさそうですけどお風呂は無いんですか?」

わりと咄嗟に思いついた質問ではあったがとても重要な質問だった。
もし私達の知ってる学校と同じだとしたらトイレや水道や電気はともかくお風呂は無いだろう。

似合わない茶髪のちゃらいキモい系案内役(そう言えばFCに入る時に名前言ってた気がしたが聞いてなかった)の人が答えてくれる。

「あー大丈夫よここ元々リゾート開発されてたぐらいだしあちこちで温泉湧いてるんだわ。ほら校舎の裏手のアレがそう。一応真水の温水シャワーもあそこについてるよ。1つしかないけど。」

そう言われてキモチャラの指差した方を見るとなんというか木造の小屋が目に入る。
その小屋からFCまで飛び石が続いているところを見るとあれが温泉みたいだ。
見た感じ10人も入れなさそうだがここにお風呂が無かったりわざわざ毎日遠くに行く必要が無いだけで十分だと思った。


「あれマスク外さないの?『戻らずの花』の臭い苦手なんだ?ってかマスク外したら絶対カワイイでしょ?ちょっと外してみてよ?」


気がつけばキモチャラが今度は心美にターゲットを変えたらしく露骨に迷惑そうな心美の顔に気づいているのかいないのかイケメンに言われたら嬉しいであろう言葉を投げかけている。

……ん?今「戻らずの花」とか言ってなかったっけ?
もしかしてさっきまでの臭い臭いの正体なのだろうか?と思い聞いてみる。

「あの、戻らずの花ってもしかしてさっきの臭い出してる花の名前ですか?」

キモチャラは無意味に笑顔で答える。

「そうそう。この臭い戻らずの花から出てる臭いよ。ちゃんとした名前じゃないらしいけどね村の人間は皆そう呼んでる。なんだっけかな、そうそう勝手に花を詰みに行った人間が戻らない事があったらしくてね。それで戻らずの花、なんだって。」

ん?詰む?なんだろ何かに使える花なのかな?と思い聞いてみる。

「あの、その花って何かに加工したり観賞用に売れたりするんですか?」

……数秒返答を待つがキモチャラは何故か黙っている。

あれ?変なこと聞いたかな?と思い顔を除いてみるとなんか「やべ」みたいな顔をしてた。
黙って階段をのぼるキモチャラ。私達もそれに着いていく。
するとキモチャラが不自然にテンションを作って叫ぶように言い放つ。

「あ!ついたよ!ここが君たち三人の部屋!とは言え実質相部屋だけどね!はいこれ鍵!じゃああとでまた呼びに来るからゆっくりしてね!」

……一方的に言い放ちキモチャラは早足で階段を降りていった。


「なんだアレきっも」

瑠衣も黙ってはいたがやはり好感は持っていなかったようで吐き捨てるように言う。
心美は左様である、みたいな真剣な目をしているのでまぁ同意見って意味じゃないかな?

「まぁいいや。とりあえずはいろ。それと心美もうそんな臭くないよ?」

うん、と答えてマスクを外す心美。
キモチャラは1つだけ良いことを言っていた。確かにマスクを外した方が心美は可愛かった。


鍵を開けて扉をガラガラとスライドさせる。
古い扉なので「ギシャシャシャキー」みたいな嫌な擬音の方が正確だと思う。

中はびっくりするぐらい教室だった。
真ん中で申し訳程度にカーテンで仕切って「これで二部屋ですよ!」みたいなアピールをしているが
実質1部屋を2グループで共有する形らしい。
そして古い校舎にはまったく似つかわしくない比較的綺麗なベッドが4つ並んで置いてある。

「あれ、なんでベッドだけこんな綺麗なんだろ?」

瑠衣が言う。それは私にもわからない。
すると意外な方向から返答が来る。私達が入ってきた扉とは逆方向の扉である。

「ああ、それはリゾート開発時代に数年間だけ営業してたホテルから運び出したらしいよ。ほら、あの廃墟っぽいやつ。窓の外みてみ。」

姿の見えない大人の女性の声に促されて見てみるとたしかにホテルのような建物が目に入ってくる。
あーなるほど。元々あそこにあったやつなのかな。でもそれなら・・・

「それならあっちに宿泊した方が早いのでは?」

疑問をそのまま口に出してみる。すると姿の見えない大人の女性は答える。

「いや詳しくは知らないけど競売でホテルの備品だけ新生が買い取ったんだって。
ホテルの所有者は今も違う会社とかなんじゃない知らないけど。
ってかこれあけていい?女同士だしいいよね別にお互い見えても。」

教室の両端にお手製の柱みたいなのを立ててその間にカーテンレールを通しカーテンをかけてしきりになっている。
どうぞ、と軽く答えるとシャーとカーテンが開き2人の女性が目に入る。

「おー!みんなカワイイね高校生??私は舞でそっちは千佳。大学生だよよろしく!」

髪を明るく染めたいかにもコミュ力が高そうな女性がさっきから話していた女性のようだ。
さっきキモチャラに似たような事を言われたがキモい男にいわれるのと綺麗なお姉さんに言われるのでは天と地ほどの差がある。正直カワイイと言われてちょっと嬉しかった。

「私は佐伯千佳です。よろしくお願いします。」

落ち着いた雰囲気の女性が優しく微笑みながら自己紹介をしてくれる。
おお、すっげー男にもてそう!胸でか!とか思いつつ私達三人も自己紹介をする。

近藤明日香です。高校生でこっちの2人もそうです。同級生です。」
「佐倉瑠衣です。これからしばらくよろしくおねがいします。」
「は~、木下心美です。は~、よろしくお願いします。は~。」

全員無難に普通に自己紹介をする。ただ普通と言うには心美が大荷物でぜーはー言っているのがあとすこしな感じだった。舞さんがさっそくツッコんでくる。

「うわなにそれ!でっか!何入れてるの枕とか?食料?水?万が一に備えて完全装備なの?ゾンビアポカリプスでも来るの!?」

大荷物に興味をひかれた舞さんが心美に抱きつかんばかりの勢いで顔を近づけて質問攻めにする。
心美が近い近い、と顔に出して戸惑っているが女同士の事なのでほうっておく。


とりあえず荷物を置いて落ち着こう。

なにをするにもそれからだと思った。
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コメント

非公開コメント

No title

ホラーの香りが漂ってきてる

画像なんだか怖いです

No title

じみにずっと待ってた!
花はなんだろ・・・

俺も待ってたクチw
続き楽しみにしてます

ホテルの備品だけ新生が買い取ったって台詞で涙が出た