新生村 ~その10 佐伯千佳~ - アナ速 ~DQⅩ初心者応援ブログ!~
2017/07/30

新生村 ~その10 佐伯千佳~

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明日香と瑠衣が松井さんと話している頃FC内で心美も会話をしていた。

ただそれは会話というのはちょっと違うのかもしれない。
何しろ片方が片方に一方的に話しているだけなのだから。


スポーツマン風の男、高橋「……でさー、サークルメンバーで一緒に行こうって話になったのよ。心美ちゃんも高校の同級生と一緒に?三人ともかわいいよね彼氏とかいるの?」

……私は常々思うのだけれどこういうただおしゃべりな人間を「コミュ力が高い」というのは間違っているのではないだろうか。

確かに人見知りせずに話したいことを話しているのは認めるけれど私、木下心美と円滑なコミュニケーションを取り信頼関係を築けているとはいいがたく、むしろ一方的に話しかけられているこの状況からどうやって逃れるかどうかだけ考えて現状を考慮すると破綻しているように思える。

そう彼の「コミュニケーション能力の高さ」が招いた結果と言える。

正直この高橋という人は苦手なタイプだった。
私は人の話を聞かない人間とテンションの高い人間が苦手だ。
もっと苦手なのは下心丸出しで近寄ってくる男だった。
そしてこれらすべてにこの高橋さんは当てはまっていた。

さっきから適当に言い訳をして逃げようとしているのだがマシンガンのようにいつまでも会話が切れないのでさっきから全然そのチャンスが訪れない。
仕方ない。今後顔を合わせたら気まずくなるかもしれないが強引に「失礼します」とでも言って部屋に戻ろう。

そう決意した瞬間に予想外の人に話しかけられる。

佐伯「心美ちゃーんいたいた!ほらそろそろ行こー!あ、でもちょっとトイレ寄っていい?」

顔を見ると佐伯さんだった。

状況がつかめない私の手を強引に取りそのまま一階のトイレに連れ込まれる。
後ろからあ、ちょ、とか聞こえてくるが佐伯さんは無視していた。
質問する間も無かったがなんとなくどういうことかはわかった。

心美「……なんか、ありがとうございます。助けてくれたんですよね?」

佐伯さんは穏やかに微笑みながら言う。

佐伯「私も高校生ぐらいまでああいうの相手にするの苦手だったからわかるんだ。
でも嫌な時ははっきり断った方がいいよ?男ってちょっとした事で勘違いするから。」

初対面ではおっとりしている印象だったけれど優しそうなよく見ると目の奥の眼光は結構鋭いものがあった。
もしかしたらそういう男関係で修羅場をくぐってきたのかもしれない。
そんなことを考えていると佐伯さんがさらに話を続ける。


佐伯「……まぁこのまま部屋に戻ってもいいと思うけど変に恨まれるのも嫌だからね。アリバイ作りに少しそのへん散歩でもしてみる?もう少しだけここにいてから。一応トイレ使ってるふりもしないとね。」

見た目どおりとても落ち着きはらった人だった。
そのまま二人で舞さんは?とか食事なんでしょうね、とか他愛のない話をする。

すると佐伯さんは何故かスマホを取り出してなにやらいじりだした。
そしてスマホのカメラだけを外に出して何やらタップした。
画面を見ると外の様子が写っている。

佐伯「さっきの人、確か高橋さんだっけ?どっか行っちゃったみたいだね。じゃ、ちょっとだけ外歩いてみよっか?」

なんだかとても手際の良い人でもあった。
シャッター音がしなかったが海外製のスマホかな?

入り口付近まで来ると例の嫌な臭いがしたのでポケットに入れたままのマスクを装着する。
佐伯さんについて行ってFCの入り口から外に出てそのままFCの裏手にまわると部屋から見えていた「温泉があるらしい小屋」が見えてくる。なるほどどうやら武道場かなにかをそのまま流用して使っているようだ。
あちこちが傷んでいるが小さい分手入れがしやすいのかFC本体よりはまだマシに見えた。

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佐伯「見て裏につながってるパイプ。あれで温泉運んでるのかな?」

見るとたしかに明らかに後付されたプラスチックっぽい太めのパイプが繋がっていてそれが山の方に延びていた。


……せっかくだから舞さんの「嘘」について聞いてみようかとも思う。
多分大した理由が無くて以前ここに来たことを隠したいなんらかの理由があるとかそんなんだろうけど。思い切ってきいて見ることにする。

心美「あの、なんか、以前にもこのFCに二人で来たことあるんですか?」

すると佐伯さんが驚いたように目を開いて聞き返してくる。

佐伯「ん?どうしてそう思うの?」

……どうしよう。ふたりとも悪い人には見えないし全部詳しく話してもいいけれど私の探偵まがいの推理を話すのもなんだか恥ずかしい。そもそも私は小心者なのか用心深すぎるところがあるのだ。
考えすぎなのかもしれない。だから少しだけ理由を話すことにする。

心美「あ、いえ2階のトイレ、部屋から見えない位置なのに場所とか案内板の事しってたから前にも来たことあるのかなって。」

いつの間にかFCの外に出て農道らしきところを二人で歩く。
あまりに離れて迷子になるのも嫌なのでそろそろ戻りましょう、と言いかけた時に佐伯さんが答える。

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佐伯「心美ちゃん、もしかして舞が他にも変なこと言ってたの気づいてたりする?」

振り返った佐伯さんが目を細めて私の方を見てくる。
なんだか少し怖い目でこちらの心を見透かすような事を言われたのでとても不気味だった。
……だけれど、同時に佐伯さんの顔は夕日を受けてなんだかこの世の人間じゃないみたいで凄く綺麗だった。

心美「あ、いえ。はい。」

私、木下心美はこういう状況で冷静に返事出来るような人間ではなかった。
完全にテンパって意味不明な返事をするのがやっとだった。

佐伯さんは相変わらず夕日を浴びて新しい妖怪みたいな怪しい美しさをまとって答える。

佐伯「本当はね。私達ちょっと変わった女子大生なの。訳あって今は言えないけどこれだけは自信持って言えるよ。私たちは正義の味方だから大丈夫だよ。安心してね。」


佐伯さんの目から鋭さが消えて元の穏やかな表情に戻る。
さっきからずっと心臓がうるさく鼓動している。
きっともう少しで失神していたと思う。そんなプレッシャーに強かったらあの高橋って男の人の誘いだって……


あれ?なんで佐伯さんはあの人の名前が高橋だって知ってるの?

新たな疑問が生まれた頃佐伯さんが声をかけてくる。


「心美ちゃんそろそろ戻ろっか。部屋に戻って少し待てば食事だよ。楽しみだね。」


その顔はなんだか絵本で読んだ女神様みたいでとても悪だくみをしている悪女には見えなかった。

疑問点はあったけれどとりあえず今は部屋に戻ることだけを考えた。

だって、おなかすいた。早く夜ご飯食べたい。


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サドルさん・・・サドルさんなの?

読ませるねー
先が楽しみです(ハードル上げ)

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