私の世界 ~新生村14.5話~ - アナ速 ~FF14ダメ!ゼッタイ!~
2017/08/07

私の世界 ~新生村14.5話~

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私のパパは俳優、ママはモデルだ。
私はただのどこにでもいる普通の女の子。でも周りはそう見てはくれなかった。

「あの俳優さんの娘って本当?」「君のママってあの雑誌のモデルなんだって?」

そんな事を知らない人がいきなり私に尋ねてくる。
うん、とかはい、とか答えて終わるならいいけれどそうじゃない人も多い。

「心美ちゃんかわいいね!イケメンと美女が両親だとやっぱり得だね!」
「心美ちゃん彼氏いるの?今度俺とデートしない?」

私は普通が良かった。別にパパとママも私の容姿も自分で選んだわけじゃなかった。
自分で選べるなら目立たない普通の家庭が良かった。

最初に服装を男子っぽくした。
ママは不思議がったけど適当なアニメの名前をだしてそれっぽくしたいから、とか言ったら納得してくれた。でもこれだけではあまり効果は無かった。

私はさらに目が悪いわけでもないのにメガネをかけて髪もあまり手入れをせず無造作なままにすることにした。そして極力クラスメイトとかかわらないようにする。でもこれでも地味で目立たない子にはしてくれなかった。

むしろ良くないことに「芸能人の娘だからって無愛想で人を見下してる」などと勝手に勘違いした女子からの嫌がらせがはじまったりもした。
そう、私の努力はある程度成功を収めており私には友達がいなかった。だから誰も守ってくれなかった。


それでも。


それでも我慢して高校生になれば変わると思ってた。
わざわざ遠い高校を受験して私は「地味な女の子」になれる日をずっと待っていた。

結論としてはそんな日が訪れる事はなかった。
悪くなりはしなかったが良くなりもしなかった。

ようするに私は相変わらず友達がいなかったし相変わらずイロモノ扱いだった。
他人と話すのは両親かネトゲのフレンドぐらいのものだった。
それが私の世界のすべてだった。

そんなある日のこと。


私は知らない野球部の城杉君に校舎の裏に呼び出されていた。
知らない女子に伝言されて放課後来て欲しいって。
何度か経験があるので用件はわかっていた。

私は城杉君の話が終わる前に「ごめんなさい。無理です。」と断り帰宅しようとした。
その態度が良くなかったのかもしれない。あまりにも私の中のテンプレートどおりに行動してしまったのかもしれない。

その城杉くんは逆上し私の腕を掴みこういった。

城杉「お前ふざけんなよ!かわいくて親が芸能人だからって見下してんじゃねえぞ!なんとかいえやコラ?」

……なにか言えってさっき言ったのに。
あなたには少しも興味ないし早く家に帰りたいので解放してください、って言ったら怒る癖に。

この頃には私は感情を殺すのにも慣れていた。
ただ冷静に「どうしたらこの状況を脱出出来るだろう」と考えていた。

すると城杉が予想外の行動に出た。
顔を私に近づけ強引にキスしようとしてきたのである。
さすがに私は冷静さを失い必死に逃れようとする。

城杉「いい臭いしてんなしかも近くで見てもめちゃくちゃカワイイじゃん。ほら付き合わなくていいから俺と良い事しようぜ」

気持ちの悪いニキビづらが私の顔に押し付けられる。
口づけこそはされなかったが頬に気色悪い感触がある。私は無意識に叫んでいた。

トタタタタ・・・ザシュザシュザシュ

格技場の方から何かが近づいてくる。
凄い勢いで近づいてきたそれが宙に浮いたと思うと目の前から城杉くんが消えた。


???「おい、てめえ何やってんだよハゲ。お前校内で性犯罪とか退学になりてえのか?」


見ると背の高い女生徒が立っていた。
知ってる。確か剣道部で凄い強い人だ。


城杉「うるせえ!てめ覚えてろよ!」


笑撃から立ち直った城杉くんは状況を理解したのか激しく動揺して去っていった。
どちらかと言えば加害者だと思うのだが何故か被害者のように捨て台詞を残して去っていく。

???「おいお前大丈夫か?あれ確か木下だっけ?B組の。」

向こうも私を知っていた。でも私はこの人の名前は知らなかった。

佐倉瑠衣「ああ、私は佐倉瑠衣。D組の剣道部の。悲鳴聞こえたから飛び出してきたんだ。」

さっき人間を蹴り飛ばしたばかりなのにものすごく普通だった。
剣道って跳び蹴りなんてあったっけ?って私はどうでもいい事を考える。

佐倉瑠衣「ん?聞いてる?話せるよね?ショックで話せない?」


まずいしばらくママ以外の人間とちゃんと話してないせいか言葉が出てこない。
こういうときは確か。

心美「ありがとうございます。助かりました。」


お礼を言う。すると佐倉さんは何故か私の手を取る。

佐倉「手、震えてるね。なんか顔舐めてるみたいなところは見えたけど大丈夫?殴られたりはしてないよね?」

私は頷く。今日は散々な1日だった。早くおうちに帰りたい。

心美「ありがとうございます。それじゃ……」


と言って立ち去ろうとする。

佐倉「待った。ついてきて。今あったことちゃんと先生に話さないと駄目だよ。うちの顧問ならちゃんと聞いてくれるから。」


正直面倒くさかったけれど佐倉さんの言うことも正しいかもしれない。
また城杉くんが襲ってこないとも限らないのだ。
私は素直に佐倉さんについていった。



佐倉さんの言うとおり剣道部の顧問の先生は私の話を親身になって聞いてくれた。
佐倉さんが証人になってくれたこともあり後日城杉くんは停学処分を受けることになる。

『わかった、後は私に任せなさい』、と剣道部の先生は言った。
『佐倉、途中まで送ってやりなさい。心細いだろうし。』

先生の指示で私と佐倉さんは駅まで一緒に帰る事になる。
私は電車30分ほど離れた駅で佐倉さんはそもそも徒歩で帰れる場所とのことだった。

途中佐倉さんがしきりにスマホをいじっている。
何かのアプリを操作しているようだったが何かまではわからなかった。
そして唐突にこう聞いてくる。

佐倉「バーガークイーン好き?」

え?何?バーガークイーン?ハンバーガー屋だよね。なんでそんな質問を?とか考えたら返答出来ずに黙ってしまう。佐倉さんは私の返事は聞かずに無視して続ける。

佐倉「クーポンで今日半額だってさこれ。食べてかない?嫌いじゃないでしょ?」

佐倉さんはどうも新作の「グローバルサブスクリプションチーズバーガー(半額で245円)」を一緒に食べて行かないか?と誘っているようだった。
目が獲物を目にしたライオンのように輝いている。

どうしよう確かにおいしそうだけれど、と迷っていると佐倉さんは私の手を掴んでバーガーキングに「たのもう」とばかりに入っていく。

当然私も入っていく。ちょ、なにこれ。私の意見関係無いよこれ!だって拉致されてるもん!





……グローバルサブスクリプションなんとかバーガーはとてもおいしかった。

ドリンクを頼んで345円。
高校生の私には少し痛い出費だけどその価値はあったと言える。

そして佐倉さん、とても綺麗でスタイルもいいのに3つも食べていた。
カロリーとか大丈夫なのだろうか。でもとてもおいしそうに食べているので私は無意識に微笑んでいたようだ。

佐倉「あ。笑ったり出来るんだ。お人形さんみたいに表情変えられないと思ってた。」


人が気にしてる事を凄くストレートに言う人だった。
好きで無表情で無口になったわけじゃ……無いと思う。多分。

佐倉「かわいいんだからもっと笑ったり怒ったりしたほうがいいんじゃない?あともっと言いたいこと言ったほうがいいと思うよ?おとなしく見られたからあんなことされたんじゃない?」

頬のあたりにあたった気持ち悪い唇の感触を思い出す。
ついつい手でぬぐってしまう。何か汚いものがまだのこっているような感じがするから。

佐倉さんの言うことも確かに……たしかにそうかもしれないけど。

心美「うるさい」

知り合って一時間ちょっとしか経ってない人にそこまで言われたくなかった。
まるであんなことされたのは私が悪いみたいな言い方は流石に聞き逃せなかった。
でも佐倉さんは全く気にした様子も無く続ける。

佐倉「やっぱ怒っても全然かわいいじゃん。木下さん名前何ていうの?」
心美「……心美」
佐倉「じゃあ心美って呼んでいい?ココミンでもいいよ。私も瑠衣って呼んで。」
心美「え?あ、うん」


完全に会話の主導権を握られてしまい私は流されていくままだった。
距離のつまり方が早すぎて私にはもはや今起こっている状況に対応するコミュニケーション能力は無かった。

瑠衣「ってかその無愛想なのなんとかしなよ。ほら笑って笑って!」

ほっぺたを思いっきりつねってくる!痛い痛い!
うぎゃー、とか私が変な声あげると佐倉さんは立ち上がって宣言する。

佐倉「よしかえろっか心美。駅までだけどね。ご一緒しますよ。」


本当に自己中心的な人だった。
母親との連絡にしか使っていないLINEIDを別れ際に交換する。
これも私の返事を聞く前に私のスマホを操作していた。

帰りの電車でも思いっきりつねられたほっぺたは痛かった。
ガラスに映った自分のほっぺたを見て軽くショックを受ける。

なんか変色してる!これ数日残るやつじゃ!


ズキズキ痛むほっぺたの感触に明日抗議してやる!と決意する。

ガラスに写っている私の顔はなんとも味のある面白い顔になっていた。




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グローバルサブスクリプションなんとかバーガーとはどんな味がするのか

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青春の味に決まってるだろ
つまりスモウライダースナックと同じ味
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